アートフェア東京2019特設ページ
若手アーティストが共演
「Projects(プロジェクツ)」
開催レポート
2019年3月7日~10日に開催された「アートフェア東京2019」。そのなかでモリモト協賛セクション「Projects」では、国内外で精力的に活躍している若手アーティストの作品を個展形式で展示、販売を行いました。
今後のアート界でますます活躍が期待されるアーティストたちの展示の様子をコメントと共にご紹介します。
P01 TAV GALLERY
磯村 暖 / Dan Isomura
「彫刻は、タイの地獄寺からインスパイアされたもので地獄の亡者を引き上げているようなイメージです。地獄に落ちる罪の条件も、時代や環境により変わりますよね。罪の定義の曖昧さによって、一個人の人生が変わっていくことへの疑問を投げかけています。
絵画は、もともとは雨どいなどを使って水でつながったいくつかのキャンバスに、一般の方や難民の方など人種や立場を超えた人たちが集まって描いた大きな装置のような作品でした。それを一つひとつ作品として展示しています。一見関係の無いように見えても、人同士は影響し合っていると思うんです。このように表面には見えない人のつながりや共感性を大事にしたいと思っています」
◆磯村 暖
1992年東京生まれ。2016年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。2017年ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校第2期卒業(卒業時 金賞受賞)。
主な展示/2016年 「U・29」(GALLERY MoMo ryogoku/東京)、2016年 「Still Life」(Bambinart Gallery/東京)、2016年 「COLLAPSE EVE」(旧豊島区役所/東京)、2016年 「Emerging Artists 2016」(Bambinart Gallery/東京)
受賞歴/ 2015年「平成27年度上野芸友賞」、2014年「平成26年度石橋財団国際交流油画奨学生」、2013年「ミス藝大2013グランプリ」
P02 CLEAR GALLERY TOKYO
中瀬 萌 / Moe Nakase
「めまぐるしく変わる感情のなかにも生命力が宿っている。今作では、その一瞬の感情を切り取っています。色合いは大きく明暗に分かれてはいるのですが、その中でさえ交錯していると感じ、蜜蝋を何層にも重ね合わせ、最終的にガスバーナーで溶かすことで一体化させて、物質的にも感情が生きていることを表現しています。自分の中でも、制作過程でもあらゆるものを削ぎ落として生まれた作品です」
◆中瀬 萌
1993 年神奈川県生まれ。2015年よりモデル活動を開始、その傍らでアーティスト活動を始める。
主な展示/2018年 個展「Water」(ニューヨーク・ブルックリン)、個展「Beyond」(CLEAR GALLERY TOKYO/東京)
受賞歴/2017年NY BROOKLYN BEAUTY/FAHSION LABO J-COLLABO ANNUAL EXHIBITION大賞
P03 Takashi Somemiya Gallery
主人公 / Syujinko
“主人公”という作家名は、既に活動している作家の別プロジェクトとして約一年前にスタート。どこかで見たことのあるようなキャラクター、構成だが全て架空のもので、タイトルは全て“わたし”。
「吾輩は猫である」のように、憑依の媒体として“主人公”が“わたし”を表出させる。例えばゲーム「ドラゴンクエスト」で主人公を選ぶように、世の中は憑依の媒体で溢れている。今回の展示はそれらの断片によるインスタレーションだ。
◆主人公
1985年 東京生まれ。 2011年 東京芸術大学美術研究科絵画専攻修了。 (その他の活動はコンセプト上不明とする)
P04 木之庄企畫
山田航平 / Kohei Yamada
「“アートファンが描くアート。アートファンが創るアート。”他のアーティストの作品をそのままモチーフにして、描いています。こういったことをやっている人って他にいないんじゃないでしょうか。2014年から今のスタイルを確立して、毎日のように自分のアートへ対する強い想いをこの人物像に託して描き続けています。この一見軽薄な引用という行為が、自分の作品を外の世界へと結びつけてくれていると感じています」
◆山田航平
1990年 北海道出身。2014年 広島市立大学芸術学部油絵専攻卒業、2016年 広島市立大学芸術学部博士前期課程修了
主な展示/2018年 「山田航平個展」(阪神梅田本店/大阪)、2017年 個展「イミテーションとタイポロジー」(木之庄企畫/東京)、 2017年 「Asia Hotel Art Fair2017」(ソウル)、 2017年 「Asia Contemporary Art Show2017」(香港) 、2016年「Art Bussn2016」(釜山)
受賞歴/2014 年「ALBION AWARDS2014」(銀賞)
P05 四季彩舎
瀬戸 優 / Yu Seto
「水が生命力の象徴であると感じ、作品のタイトルはすべて『水源』としました。見た目を似せるという意味でのリアルさではなく、荒々しさやスピード感を最大限に引き出した、より本質的なリアルさを追求しています。もともと理系だったこともあり生息地や地形にもこだわりを持っています。自分にとって創作活動は、童心に返ることのできるまるでタイムマシンのようなもの。その感覚は作品の中にも宿っていると思います」
◆瀬戸 優
1994神奈川県小田原市生まれ。2018年 東京藝術大学美術学部彫刻科 卒業、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻 入学
主な展示/2016年「Owls」(四季彩舎/東京)、2017年「♡Animals」(Bunkamuragallery/東京)、「Animals in the Box」(Bunkamura Box Gallery/東京)、「Owls -eyes-」(四季彩舎/東京)、 2018年「瀬戸優展 月を知る」(四季彩舎/東京)、「メロメロ アニマル Exhibition」(Bunkamura Gallery/東京)、「♡Animals2018」(Bunkamura Gallery/東京)
受賞歴/ 藝大アーツイン丸の内2015 GAM賞、観○光賞 第二席、KENZAN2017、roidworksgallery賞
P07 TALION GALLERY
小泉圭理 / Keisuke Koizumi
身体や事物の交わりをモチーフとして、ペインティングやドローイング、石膏などを用いた立体作品を制作する小泉圭理。からだをかたどった変形キャンバスの作品やドローイング、立体作品を展示した。
◆小泉圭理
1985年東京都生まれ。2008年武蔵野美術大学油絵学科卒業
主な展示/2018年「コンテイナー」(TALION GALLERY/東京)、 2018年「VOCA展2018」(TALION GALLERY/東京)、2015 年「一房の小泉圭理」(TALION GALLERY/東京)、2015年「アンチラプラス・デーモン」(TALION GALLERY/東京)、2013年「入れない」(TALION GALLERY /東京)、「JIZZUM」(22:00画廊/東京)
P08 HAGIWARA PROJECT
今井俊介 / Shunsuke IMAI
色や形といった絵画の基本的な要素についての考察を元に、彩度の高い色を使ったストライプや円が重なりあう構図を描く今井俊介。ファッションブランドとのコラボレーションなどでも注目される今井は、新作絵画を発表。
◆今井俊介
2019年「びじゅつじょろん」(藤枝市民会館他/静岡)、 「Reborn – 未来を発明 コレクション x 現代作家」(福井県立美術館/福井)、2018年「small good things」(HAGIWARA PROJECTS/東京)、「絵画の現在」(府中市美術館/東京)、2017年「natsu no tobira – organized by Misako and Jeffrey Rosen」(Shane Campbell Gallery/シカゴ)
P06 ex-chamber museum
小野川直樹 / Naoki Onogawa
「小さなころから折り紙が好きでした。3.11の体験をきっかけに、折り鶴を作品にしました。実際に被災地を訪れ千羽鶴を目にし、鶴は祈りの象徴ではないかと感じています。初期は街路樹のような雰囲気の作品だったのですが、より作品全体が生き物のように感じられるようにしたいと動きをつけることにこだわっています。今回のような展示をするたびに、世界が広がっていく感じがしますね。“自分の作品を見たい”という気持ちが新たな作品を生む原動力になっています」
◆小野川直樹
1991年東京都生まれ、2012年御茶ノ水美術専門学校卒業
主な展示/2015年Quest -selected by Masaharu Makuuchi/ex-chamber museum(六本木ヒルズA/Dギャラリー/東京)、2016年「これまでとこれから」(西武渋谷店B館8階オルタナティブスペース/東京)、2017年「彩」(日本橋高島屋2階アートアベニュー/東京)、2018年「paper works」(ex-chamber museum/東京)、2019年「群青」(ex-chamber museum/東京)、小豆島に「naoki onogawa museum」がオープン予定
P10 JINEN GALLERY
戸賀﨑珠穂 / Tamaho Togasaki
「めまぐるしく変わっていく東京の風景を留めておきたいという想いで描いています。作品名はすべてその風景の日にちになっているので、日記のような側面もありますね。何気ない風景だけど、少し視点を変えてみたときの面白さを感じていただければ。いまは、特にカーブに興味があって、見えないその先に何が待っているのか…と。先に待っている明るい未来が今後描けると嬉しいですね」
◆戸賀﨑珠穂
東京生まれ。創形美術学校研究科造形課程修了。
主な展示/2017年Accumulate Vol.3(JINEN GALLERY/東京)、LA EXPO Contemporary (LA/U.S.A.)、アートコンプレックスセンター10周年記念展 (The Artcomplex Center Tokyo/東京)、「contact」(表参道画廊+MUSEE F/東京)、 個展 -Everthing Is Changing- (JINEN GALLERY/東京)、2018年COLLECTORS WEEK 佐々真コレクション (The Artcomplex Center Tokyo/東京) ART FORMOSA 2018 (Songshan Cultural and Creative Park eslite hotel/台湾) 個展 – 替わるもの 変わらないこと –(JINEN GALLERY/日本橋)
P11 COMBINE/BAMI gallery
宮本大地 / Daichi Miyamoto
「今回は『宮本ビルヂング』と題して、大きな絵を中心にそれを囲むように小さな絵を配置しました。この空間すべてで1つの世界なんです。懐かしいものを組み合わせながら、小さなころに見た秘密基地のように自分が楽しいと感じるものを作りあげています。表現したいのはどこかで見たことのある現実と非現実のちょうど間の世界。いまは日本のモチーフが中心ですが、今後は海外のものを自分の目で見て取り入れていきたいですね」
◆宮本大地
1991年大阪府生まれ 2013年京都精華大学卒業
主な展示/2012年「pallet 」(KUZUHA ART GALLERY/大阪)、2013年「tricolor」(7-23gallery/京都)、2013年 「”Joy”nt」(高松天満屋アートギャラリー/香川)
P12 Gallery花影抄
佐野 藍 / Ai Sano
「私生活で周囲の方が亡くなったり病気になったりということが続き、生き物としては自然なことですが、自分にとってはで大きなできごとで…。太陽のような存在があるからこそ自分がいられると実感しました。それはファンタジーの世界でも同様だと思い、生から死の瞬間をドラゴンで表しました。今は自分の素直なものを出していますが、自分の力を磨き上げいずれは影響力を持って本当に言いたいことを作品に込められるようになりたいです」
◆佐野 藍
1989年 東京都生まれ。2014年 東京藝術大学 美術学部 彫刻科卒業、2016年 東京藝術大学 大学院 美術研究科 彫刻専攻 修了
主な展示/2017年「佐野藍彫刻展 INNOCENT 」(Gallery花影抄/東京)、2018年「佐野藍彫刻展 獣神達の昼さがり ZOOMORPHIC SLUMBER」(Gallery花影抄/東京)、「佐野藍 週末在廊企画(8月)」(Gallery花影抄/東京)
(取材・文/SUMAU編集部 撮影/三浦 大)