私たちだって自分らしい家が欲しい!

2019.07.31

〜家具を買う、家具と暮らす〜
Vol.01 部屋の雰囲気を決める照明

モデル、ライターを経て、現在は旅や美容を中心とした暮らしにまつわるコラムやエッセイを寄稿している前田紀至子さん。お父様が大のインテリア好きで、ご自身も自然とインテリアに興味を持つように。この連載では、そんな前田さんとともに、毎回1つずつアイテムを決めて探求していきます。第1回目となる今回は、デザイン性の高い照明を数多く取り扱う「YAMAGIWA」のショールームへ。マネージャーの武川智子さんに照明の選び方やコーディネートについて教えて頂きました。

 

たくさん置くほど

部屋の表情が変わっていく

 

 

前田さん「長く使えることを考えると比較的低コストで、部屋全体の印象を変えられるアイテムを考えたときに、照明ってとてもいいなと思っているんです。まずは照明の基本的な考え方について教えて頂けますか?」

 

武川さん「照明器具は電源が必要になるので、天井にいくつ照明ソケットがあって、壁のコンセントがどこにあるか、できれば図面を確認できるといいですね。また、お部屋の中に、ダウンライトなどが備え付けられている場合もあります。そういったことをまずはお店の人に伝えてください。また、気に入った照明を1つ決めて、それをベースに、スタンドライトなどを付け加えていくという方法もありますよ」

 

前田さん「想像しただけで楽しそうですね!」

 

 

武川さん「カーテンの色合いなども考えたほうがいいですね。黒っぽい壁の場合は、光が反射しないので照明選びが難しいんです」

 

前田さん「なるほど、寝室だけ落ち着いた雰囲気にするために壁を深めの色に変えている方も多いですよね」

 

武川さん「また、その部屋で何をするかによっても、変わってきます。例えばお仕事をするのであれば、ムードだけを求めてしまうとだめですね」

 

前田さん「私は最初それで失敗したんです! 落ち着いた雰囲気にしようとしたら、仕事での目の疲れがひどくて…。それをきっかけに、照明を変えるって結構簡単だなって気づいたので、良かった面もあったんですが」

 

武川さん「なるべく照明の数は多い方がいいんです。そのシチュエーションごとに点ける場所を変えることができますから。仕事をするときは天井照明と手元の照明をつけるとか、オフモードになるときは天井照明を消して、スタンドだけにするとか。そうやって使い分けするといいですね」

 

前田さん「いま、私は天井照明として調光のできるLEDライトを使っています。あとは、実家から持ってきた丸くて小さい照明を床に置いているんですが、オブジェのようになってしまって日常的には使えていないんです。気分によって点けたり消したりするのがいいのか、点けっぱなしにしたほうがいいのかと迷います」

 

武川さん「最近はLEDですから、点けっぱなしも躊躇なくできますよね。でも、全部点けているとき、半分だけのとき、1つだけ点けたときなど、変化を楽しむという意味で点けたり消したりすることをオススメしたいですね」

 

前田さん「気分転換にもなりそうですね。メインの照明を点けるのは習慣になっているんですが、間接照明も同じように習慣にしていきたいです」

 

武川さん「導線にライトの電源を置いて、歩きながら点けて、眠る時には消して…とできると理想ですよね。北欧の方は上からどんどん消していって、最後に足元へ、と言いますね。足元に明かりがあると落ち着くんですよ」

 

前田さん「確かに、少しずつライトを消すというのは気持ちも穏やかになりそう。さっそく今日からやってみます」

 

 

心も左右する

光の大切さ

 

 

武川さん「置く場所も大切ですね。スタンドなんかも、壁の近い位置に置くのと、ソファの横に置くのとでは、感じが変わるんですね」

 

前田さん「わかります。部屋の隅に置くと以外と温かみが出てよかったり」

 

武川さん「何も置くものがないという部屋のすみっこは結構照明器具のベストポジションになることが多いですね」

 

前田さん「ほかに、コーディネートでのポイントはありますか?」

 

武川さん「家具にいろんなアイテムがありすぎて、ごちゃごちゃしてしまう場合には、照明をシリーズでそろえて統一感を出すというのもありですが、基本的にはいろんな素材を組み合わせていくほうが面白いですね」

 

前田さん「金属の物と、布の柔らかいものと、素材によって光り方が変わるんですよね。金属だと一部分からしか光が出ない分、力強かったりしますよね。私はこのバカラとのコラボのスタンドが以前からとっても気になっていて。こういったガラス素材との組み合わせも影の出方などが変化して素敵ですよね」

 

Baccarat「BON JOUR VERSAILLES LAMP S(ボンジュール・ヴェルサイユ)」¥302,400(右)、¥129,600(左)

 

武川さん「そうなんです。様々な光を駆使していくと、空間に広がりが出るんですよ。だからこそ、選ぶのが難しいものではあると思います。カタログで見てもカタログは光らないので、実際に目で見るというのが重要です」

 

前田さん「いつもカタログを見て、これかな、と思っても実際に見たり、部屋に入れてみると違ったというのはよくあることですよね。ECサイトでポチッと買うのはよくないですね」

 

武川さん「インテリアのプロの方でも選ぶのが難しいのが照明だとおっしゃいますから。照明をどうしたいかわからないという方も多いと思いますが、光り方を実際に見て『私が欲しかったのはこれだ』と気づく方も多いんです」

 

 

前田さん「照明は多いほどいいということですから、見に来ていろいろと選びたいですよね。玄関はこれ、リビングはこれ…と。あとは、光の色味も大切ですよね」

 

武川さん「白っぽい光が下の方にあると、落ち着かないんです。基本的には暖かい色がいいですね」

 

前田さん「仕事さえなければ、全部暖かい色にしたいです」

 

武川さん「そうですね、仕事の時だけは明るい白っぽい色にしていただいて。白い光は頭も働きますから」

 

前田さん「普段あまり光の色味を気にしたことがなかったのですが、リモコンで調光できる照明を使い始めて、青っぽい光にするとあまり気分がよくなくて…。光の色味で、自分の気持ちがかなり変わることに気付いたんです」

 

武川さん「光に対しては、素直に向き合ってもらうのがいいのかもしれませんね。心や神経にも直結するものですから。今、スマホやパソコンで皆さん毎日かなり光を浴びている時代なので、家にいる間は少し光を抑えるくらいでもいいのかも知れないですね」

 

前田さん「そう考えると、照明ってすごく重要なものですよね。照明をつけたり消したりするだけでも、生活の質があがって、より豊かに暮らせそうだと感じました」

(取材&文・SUMAU編集部 撮影・古本麻由未)

 

■取材後記

 

新しい住まいを始めるにあたって、何よりも妄想を掻き立て、気合が入る家具探し。「いつかはあの家具を買いたい!」と狙っていたものだって思い切って購えてしまう絶好の好機でもあるように思います。

 

そんな一生物の家具と出会うためのこの連載、第一回目は部屋になくてはならない照明を探すべく「YAMAGIWA」のショールームを訪れました。

 

私自身もともと発売当初から気になっていたバカラの「ボンジュール・ヴェルサイユ」を改めて見せていただいたところ、やはり抜群にモダンでありながらとびきりロマンティック。理想のインテリアを作るためにもこれはマストだと惚れ惚れしましたが、さらなる学びは「照明は多ければ多いほど良い」という事実。

 

確かにパッと明かりを灯すという行為は、日常生活の中で少なからず心地よく、心癒してくれるもの。「リビングに明るいのを一つ!」なんて制限することなく、ダクトレールなども取り入れながら、好みの照明を少しずつ増やしていきたいなと思う今日この頃です。

 

そして今回印象的だったのは、照明について教えてくださった武川さんがどんなことでも的確にアドバイスくださるので、思わず絶賛したところ「私、(照明)オタクなんです」と笑っていたこと。とても心強くて、色々相談して選びたい!と信頼せずにはいられませんでした。さて、次はどんな素晴らしきオタクに出会えるのでしょうか。家具探しは続く。

 

前田紀至子

 

 

前田紀至子

インスタグラム:@ki45m

Note:https://note.mu/kishikomaeda

 

 

yamagiwa tokyo

 

 

YAMAGIWAのオリジナル照明商品のほか、世界中からセレクトした高品質な家具と照明を展示。幅広いテイストの商品がそろい、ウィンドウショッピングをする感覚で、照明の魅力を体感できる。

 

住所:東京都港区南青山2-27-25ヒューリック南青山ビル9階

時間:11:00 ~ 18:00

定休日:毎週水曜日、日曜日、祝日

HP:https://www.yamagiwa.co.jp/