私たちだって自分らしい家が欲しい!
Vol.09 マンション購入のリアル
共働き夫婦の購入体験談
今回は、新築マンションを購入し、住み始めたばかりの30代前半のTさんご夫妻の新居にお邪魔してお話を伺いました。マンションを買い替えたというお2人の実体験は、新たに購入を検討されている方にも役立つ情報満載です。共働きの夫婦だからこそ気づく、間取り選びのポイントも。ぜひ参考にしてください。
20代で結婚、
すぐに中古マンションを購入
大日方「ご夫婦でお2人とも働きながら子育てしているというのが今どきの夫婦のあり方ですよね。お2人にお話を聞けるのを楽しみにしてきました」
白澤「結婚したらまず賃貸に住むご夫婦が多いかと思うのですが、お2人はどうでしたか」
奥様「最初は恵比寿の中古マンションを購入しました」
ご主人「恵比寿駅から近い割には、築40年以上だったので価格はそれほどではなくて。リノベ―ションされて、見た目はきれいだったのでコスパが良いと感じました」
大日方「最初から購入するという選択はすごいですね」
ご主人「結婚した勢いもありましたね(笑)。まだ20代だったので、周りに購入している人は少なくて、購入すると言うと親にも驚かれました」
奥様「私がもともと物件を見るのが趣味で、日頃からいろいろと見比べていたんです。賃貸と分譲だと設備も違うというのもそこで気付いていました。たとえば食洗機がついているとか、床や天井の作りも…」
大日方「金銭面で怖くはなかったですか?」
ご主人「この場所なら売れないことはないかな、と楽観的に考えていましたね」
奥様「働けなくなったときのことを考えれば賃貸の方がリスクになるのかなって。ローンは保障も多くて、保険のような役割もあると思うんです。リスクといえば大災害くらいじゃないでしょうか」
大日方「そういう考えだと安心できますよね。私もこの連載を通してローンについて勉強して、ローンの組み方もいろいろあると知りました。お2人はどんなパターンにしましたか」
ご主人「今はペアローンで半分ずつ別々にローンを組んでいます」
大日方「なぜペアローンを選んだんですか?」
奥様「住宅ローン控除がお互いに受けられると知って」
白澤「そこまで考えて…素晴らしいですね」
ご主人「実は、恵比寿の家は、妻一人の名義で4500万円のローンを組んでいました。私が転職したばかりだったので…」
大日方「20代の女性1人で4500万円もローンが組めたんですね。こうやって話を聞くほど、私はフリーになって後悔の嵐…。会社員の時にローンを組んでいればって」
買い替えも視野に入れて
新築マンション購入へ
白澤「今回、家を買い替えた理由を教えてください」
ご主人「前の家の立地や間取りは気に入っていたんですが、築年数が経っていることで、周りの音や冬の寒さがどうしても改善が難しくて」
奥様「天井が薄くて、場所柄毎日のように上の階からパーティする音が聞こえてくるんです。正直、住んだその日に“失敗したかも”って思っちゃった」
白澤「だからこそ今回は新築にこだわったんですね」
奥様「そうなんです!」
大日方「購入経験者だからこその判断ですね。エリアのこだわりはありましたか」
奥様「商店街の雰囲気が好きなんです。恵比寿も便利なんですけど、街に落ち着きがなくて。20代の頃はよかったんですが…」
白澤「子供がいると、また違ってきますよね。家探しは大変でしたか?」
奥様「土地も戸建ても含めてたくさん見に行きました。中古も結構見学しましたね。でも港区では、新築と値段が変わらなかったので…。それどころか新築時よりも2000万円くらい上がっている物件もあると聞いて、中古を買うのはばかばかしいなって」
大日方「ここにした決め手はなんでしたか?」
ご主人「タイミングがまず良かったですね。このあたりで新築というのも少ないですし、恵比寿の家を先に売りに出していたので期限があったんです」
奥様「前の家の反省で、構造がしっかりしているところを探していて、ここに巡り合いました。目の前がバス停というのもポイントですね」
大日方「恵比寿の家は売れましたか?」
ご主人「半年ほどで申し込みが入ったのがキャンセルされて、そのときは焦りました! 結果的には、そのあとまた申し込みがあって、売却から10カ月ほどで、購入時よりも少しだけ高く売れたので安心しました」
奥様「そこから半年くらいは仮住まいになりましたね。敷金、礼金、手数料もかからない物件に半年くらい住みました」
白澤「お子さんが大きくなったらまた買い換えようという気持ちでいますか?」
奥様「買い替え前提で家探しをしましたね」
大日方「本当に賢い! 買い替えを念頭に置いての家探しのポイントはありますか?」
ご主人「壁紙やブラインドなど、カスタマイズも可能だったんですが、いろいろと考えた末にスタンダードなモデルにしました。個性をつけすぎると売れないかな…と」
白澤「確かに、売る前提ならそれが得策かもしれません。目先のことだけじゃなく、しっかりと未来を考えているんですね。ほかに、これはハズせないというこだわりはありましたか?」
奥様「廊下が欲しいと思っていました。リビングから部屋が繋がっている家もあると思うんですが、部屋がそれぞれ独立しているというのがポイントでしたね。共働きで一人が遅くなっても相手に迷惑をかけずに部屋まで行けるので」
白澤「お子さんがやっと寝たのに、ドアを開ける音で起きちゃうとかも嫌ですよね」
奥様「そうなんです! あと、玄関を開けてすぐに生活空間になるのが嫌だなって気持ちもありました」
大日方「なるほど、それは盲点でした。共働きだからこそ気づくことですね」
白澤「新築物件だと事前にモデルルームしか見られないので不安ですよね。実際に生活をしてみてどうですか?」
ご主人「道路沿いなのですが、それは意外と気にならないと思いました。窓を閉めるとほとんど外の音がしないんです」
白澤「大きな道路沿いは、通常よりも窓が厚くなっている物件が多いので、むしろ静かなんですよね」
ご主人「柱や梁(はり)は実際には見られないので、これは入居してから気づきましたね」
白澤「私も同じ経験があります。図面をしっかり見たつもりでも、梁まではわからなくて…。そこが難しいですよね」
奥様「私が一番違うと思ったのは外観かな。大抵、外観はCGで作られているので全然ぴんと来なくて」
ご主人「収納は思った通り良かったですね。適材適所でいっぱいあるのがいい。総じて考えて、買って良かったなって思います」
大日方「20代で購入の決断をされて、将来までしっかりと考えて…。読者のお手本になるようなお2人ですね。同世代に伝えたいことはありますか?」
奥様「若いうちに家を購入して、そこを売ってまた新しい家を…と、今後もライフステージの変化に合わせて家を住み替えていきたいですね!」
ご主人「家を持ったことで安心感もありますし、前向きに仕事を頑張ろうという気持ちになれますよ」
白澤「私も久美さんも、若いうちに購入したほうがいい、といつも話しているんです。今回は、それを実体験から語っていただいてありがとうございました」
(取材&文・SUMAU編集部 撮影・古本麻由未)